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坂口親子対談
Family Dialogue|01
父が見てきた半世紀近い大工の世界と、
同じ道を選んだ息子の本音

大工・内装の世界には、長年にわたる「職人気質」の文化が根づいています。今回ご登場いただくのは、そんな大工の世界で 40年以上 という長いキャリアを歩んできたお父様(昌春さん)と、ふとしたきっかけから同じ道を選んだ息子さん(良一さん)。 「親子だからこそぶつかることはないのか?」「大工の仕事はどうやって身につけていくのか?」――現場が大好きで、そこに生きがいを感じているお二人が語るエピソードは、職人仕事に携わるすべての人にとって興味深い内容です。 実際にリフォーム案件などで親子二人三脚で動く日々の中には、大工業界の今と昔がぎゅっと凝縮。父と息子、それぞれの思いが交錯する本音トークを通して、「家づくり」への熱い思いや「体が動く限り続けたい」という職人気質が見えてきます。

Talk Member

対談メンバー

良一

息子職人

坂口 良一

 昌春

親職人

坂口 昌春

“40年”を超えて大工を<br />
続ける父の原点

01

“40年”を超えて大工を
続ける父の原点

まずお二人が親子で大工の仕事をしている経緯を教えてください。
お父様が先に大工として活躍されていたんですよね?

 昌春

親職人

昌春

そうです。私はもう 40年以上 大工をやってまして、最初は若い頃にいろんな現場を転々としていました。昔は大型の建築会社から定期的に仕事を受けて、それこそ日本全国行ってましたね。被災地の復興にも携わったりして、けっこう体力勝負でした。
息子が生まれたころは私も一人親方で、現場を掛け持ちしながら必死にやってましたよ。で、息子が高校を卒業したあとですね、しばらく何もしていない時期があったんで「だったら大工の仕事やってみるか?」と。まぁ、軽い感じで声をかけたところがスタートですね。

良一

息子職人

良一

はい。僕自身は「大工になろう!」と強く思ってたわけでもなくて、高校卒業して1年ぐらい何もしていない時期があったんです。で、父が長年大工やってたし、「とりあえず手伝ってみる?」という流れで入った感じです。
でも実際にやってみると、想像以上に体を使うし、最初は道具の名前や扱い方すら分からないし…「こんなに大変なんだ」と思いました。でも、徐々に“家が変わっていく”面白さや、お客さんに直接「ありがとう」って言ってもらえる楽しさを感じ始めて、「あ、これなら続けられるかも」って。

 昌春

親職人

昌春

大工は、基本的には体が動く限りは続けられる仕事ですし、どこに行っても「やってほしい」という依頼はあるんです。昔は一人親方として、材料調達や確定申告も全部自分でやっていて大変でしたけど、そのぶん仕事が絶えない時代もありました。何より、自分の技術が役に立ってお客さんが喜んでくれるのを見ると「もうちょっと頑張ろうか」と思えるわけです。

大工の世界は“現場で覚える”と言われますが、
実際どのように技術を身につけてきたのでしょう?

 昌春

親職人

昌春

昔から「見る、やる、失敗する。そしてまた覚える」という流れでしょうね。大工の仕事は、家一軒同じように見えても中身が全然違う。“解体してみたら配管の位置が変だった”“柱が思ったより腐食してる”みたいなことが起きるので、マニュアルでは割り切れないんです。
だから若い頃は先輩について「こういうときはこう収めるんだな」と見て覚えるし、自分でやってみて失敗もする。でもその失敗から学ぶのが一番身につく。私も若いころはそうやって40年近くやってきました。

良一

息子職人

良一

僕も最初は本当に「作業着着て現場に行く」だけで精一杯で、何をどう始めていいかすら分からなかったですね。先輩大工さんが作業しているのを横で見ながら「あ、今ここに材料をこう置くんだ」「切るときはこの角度なんだ」みたいに学んでいく。

父から「そこはこうしておいたほうが安全だ」とか「道具はこう使え」と言われても、一回自分でやってみないと理解できないんです。失敗しながら「なるほど、こうすると仕上がりが綺麗になるんだ」と体感するというか。

 昌春

親職人

昌春

リフォーム案件だと、解体しなきゃ分からないことが山ほどあります。それこそ天井裏を開けたら予想もしない配線が出てきたとか、昔の構造が特殊だったとか。現場で判断してどう納めるか決めるのが大工の腕の見せどころなんですよ。
息子にも「自分で考えてみろ」とよく言います。聞かれれば答えますが、最終的には自分でやってみなきゃ覚えられないから。

良一

息子職人

良一

そうですね。最初は「正解が分からない!」となっても、とりあえずやる。その繰り返しで「これでいいんだ」と納得できるようになってくると、どんどん仕事がおもしろくなるんです。

お二人とも「リフォームはやりがいがある」とおっしゃいますが、
具体的にはどんなところに魅力を感じますか?

良一

息子職人

良一

リフォームって、お客さんは住みながら工事を進めるケースが多いんで、ちょこちょこ顔を合わせるんですよ。すると「こうしたい」「ああしたい」が直接聞けるし、僕らも「ここをこうするとスッキリ収まりますよ」って提案できる。
終わったあとに「すごく綺麗になった!」とか「助かった」って言ってもらえると、もう嬉しいですね。

 昌春

親職人

昌春

新築だとお客さんがその場にいないことが多いんですよ。でもリフォームは生活の真っ只中に飛び込んで工事するから、お客さんの困りごとを“リアルタイムで”解決してる実感があります。そこが「これが大工の醍醐味だな」と思いますね。

親子で現場に入るということ

02

親子で現場に入るということ

お二人は親子でもありますし、ときには同じ現場に入ることもあるそうですね。
実際のところ、やりやすさとか気まずさとか、何か感じる部分は?

 昌春

親職人

昌春

気まずさは全然なくて、むしろ楽ですね。長年一緒にやってるので「じゃあそっち頼むわ」で終わる(笑)。初対面の職人さんだと「どういう性格かな」「どう指示を出そうかな」って、ちょっと探りが必要じゃないですか。
親子なら「そこ、やっといてー」ってホント気軽に言えますから。

良一

息子職人

良一

まぁ父親相手だと敬語も使わないですし(笑)。でもそれが楽。しかも、普段どんなふうにやってるか大体分かってるんで、いちいち細かく言わなくても合致するんです。

 昌春

親職人

昌春

安心感はあります。ただ、もう慣れてるんで特別な感情はないですね(笑)。現場でも別々の作業をしてるときは会話もほとんどないですし。でも「ここの仕上げ任せたら確実にやってくれる」って思えるんで、その点はありがたいです。

大工仕事は“現場で覚える”と言われますが、実際どうやって技術を身につけているのでしょう?

良一

息子職人

良一

やっぱり“見て覚える”ですね。お父さんに限らず先輩大工さんとか、米倉商店にも経験豊富な方がいて、「これどうしたらいいんですかね?」って聞くと「ああ、ここはこうやったほうがいい」とか即答してくれるんです。
でも聞くだけじゃ頭で理解してるだけ。実際にやってみると「うわ、こうなるのか」って失敗もする。その繰り返しで少しずつ形になっていく感じです。

 昌春

親職人

昌春

うーん、あんまり「教える」っていうことはないですね。「見て覚える」が多いです。もし「あれどうする?」とか聞かれれば答えますけど、基本はそういう世界ですね。

家によって構造も全然違うんで、マニュアル通りに行かないことが多いです。「1枚めくってみたら、思いもよらないところに配線が来てた」みたいな。
そういうときは大工がその場でパッと判断して解決する。だから若いうちは「やって失敗して学ぶ」が大事ですね。

息子さんはまだ若いですけど、お父さんは「もう60近い」とおっしゃってました。
お互いに今後も生涯大工を続けるおつもりでしょうか?

 昌春

親職人

昌春

体が動くなら続けたいですね。やめて家にずっといるのも退屈でしょう?(笑) 大工って定年がないから、好きなあいだ続けられるのはありがたいです。

良一

息子職人

良一

自分はそんなに続けられるか不安は正直ありますね(笑)。業界の流れもあるし、体力の問題もあるし。ただ子供がいるので、当面は頑張って大工で食べていくつもりです。やっていくからには、ちゃんと技術を磨いていかないといけないなとは思ってます。

 昌春

親職人

昌春

最初は「大丈夫かな」って思ってた時期もありますけどね。もう今のままで十分じゃないですかね。技術的にも、対お客さんへの対応もしっかりしてきたと思います。そこは本人が決めることだし、今のままやっていけばまず大丈夫だろう、って感じです。

良一

息子職人

良一

40年ってすごいじゃないですか。僕は今20年ぐらい職人してるんですけど、世の中の景気とか新築が減ったり増えたり、コロナとか…色々ある中で、何だかんだ大工でやっていけてるのはホントすごいなと思います。自分も同じだけ続けられるかな、って。

米倉商店さんの社長について。どんな印象ですか?

良一

息子職人

良一

僕から見れば、フラットに話しかけやすい人です。たとえば子供が急に入院したときも「すぐ帰りなよ、大丈夫?」って声をかけてくれたり、事情を汲んでくれる感じが本当にありがたいですね。

 昌春

親職人

昌春

直接ガッツリ一緒に仕事をする機会は少ないんですけど、会社の雰囲気としては職人も社員もやりやすそうですし、社長さん自身が“社長っぽくない(笑)”というか、すごく柔軟な印象があります。仕事上のやりとりで困ることがあまりないですし、話しやすいから助かりますよ。

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