Interview 01
高校卒業後、そのまま“職人の道”へ
私が高校を出てすぐに内装の仕事を始めたのは、正直言うと『何か手に職をつけてみたい』ぐらいの軽い気持ちでした。父(会長の修二)は“畳職人”からリフォームへと事業を広げてきた人ですが、当時はまだ『畳屋さん』というイメージが強かったんです。
だけど実際に現場に入ってみると、畳だけじゃなくて、床や壁紙、水回りの交換など、本当に“家のあらゆる部分”をさわる機会があって。若いうちは体力勝負でキツいこともありましたが、『自分が手を動かすことで家が変わっていく』という達成感が面白かったんですよね。
高校生のときは特に職人になろうと思っていたわけじゃなく、卒業後に『会社を手伝ってみる?』ぐらいの軽いノリです。最初はノコギリやインパクトドライバーの扱い方ひとつとっても先輩に聞きながらで、失敗も多かったです。
ただ、現場の先輩たちが“見て覚えろ”“とにかくやってみろ”という人たちだったので、体を動かしながら少しずつ『これはこうやるんだ』と理解していきましたね。

Interview 02
一人の“職人”から“専務”へ
経営と現場を結ぶ“パイプ役”
何年か現場で働くうちに、兄(社長の宏一)や父がリフォームと不動産への拡大を本格化し始めたんです。会社として人も増え、工事の種類も増え、一緒に動く職人さんたちとの調整が必要になって…。
そこで『お前(孝典)も現場ばかりじゃなく、経営を含め会社全体を見てくれ』という話が出て、専務という形になりました。でも実際は『“二刀流”のようなもの』だと思っています。
“専務”と聞くと“デスクワーク中心”をイメージされることもありますが、私の場合、半分以上は現場に出ています(笑)。現場にいないと分からないトラブルやお客様の細かい要望って、本当に多いんですよ。
例えば『解体してみたら配管が予想外の位置にあり、どう仕上げる?』となったら、現場で判断する必要があります。それを経営側に報告し、材料や予算を調整するのが私の役割。言わば“最前線から情報を吸い上げて経営に生かす”立ち位置ですね。

Interview 03
家族経営ならではの「遠慮のなさ」
親や兄弟へのリスペクト
父は若いころから畳とリフォーム一筋で、いろんな経験をしてきた人。兄も経理や管理を早くから覚えて、ネットやホームページを活かして事業を広げている。二人とも僕にはない強みを持っているので、同じ家族でもやはり尊敬する部分は大きいです。
ただ、家族って言っても“正直合わないな”と思うところは正面からぶつかる。それでも最終的には『よし、じゃあこうしよう』と、会社として一つの方向に決まるのが家族経営のスピード感かなと思います。
Interview 04
リフォームの現場は「想定外が当たり前」
お客様と直接やりとりできる喜び
現場作業としてはリフォームメインなので、実際にやってみないと分からないことだらけ。『天井をめくったら梁が思ったより腐食していた』とか、『床の段差が予想以上にある』とか、毎回何かしらサプライズが起きます。
そのたびに『どう収めるか』を大工や内装職人がその場で判断し、お客様の要望とすり合わせていくんです。私も専務とはいえ、現場で『これはこうしたほうが仕上がりが綺麗だと思いますよ』と提案することもしばしば。お客様が『じゃあそれで!』となれば、すぐに動ける体制を維持してるので、仕事がスピーディなんです。
新築だとお客様と職人が直接話す機会は少ないですが、リフォームは“今住んでいる家”を工事するので、顔を合わせる機会が多いんですよ。僕らが『ここを少し伸ばすと空間が広く使えますよ』『こっちの部材で統一感が出ますよ』とか言うと、その場で『いいですね!』と言っていただける。
それが“職人としてのやりがい”でもありますし、専務として“お客様満足度を高める”ことにもつながっていると感じます。
Interview 05
将来の目標――「二刀流」をもっと極めたい
家族経営で、より大きな存在になりたい
専務と言っても、現状は現場出て工事もやって、経営のミーティングにも参加して…と毎日バタバタしています。でも私はこれが性に合っているんでしょうね。
将来的にはもっと“経営視点”を高めて、不動産を含む事業全体を俯瞰しつつ、現場の最前線に居続けたい。そういう“二刀流の専務”がいる会社は珍しいと思うんですけど、『現場を見ないまま経営判断をする』のは嫌なので、そこは貫きたいですね。
最後に言いたいのは、父や兄が作ってきた“家族経営の温かい空気感”を絶やしたくない、ということです。大きい会社になるとどうしても分業が進んで、誰が何をやってるのか分からない状態になりがちですが、うちは職人や社員の顔がちゃんと見えるから、いい意味でゆるやかな一体感がある。
ここを強みとして、もっとリフォームと不動産を連携させながら、“地域で一番頼られる会社”に近づけていきたいですね。自分が職人出身であることを活かして、今後も現場と経営をガッチリつなげる役割を担っていきたいと思います。

経営と現場、二つの視点で
家族経営をさらに強くする