Interview 01
父からバトンを受け取り、リフォーム事業を加速
「思い切って事業を広げる」決断
うちは明治から曾祖父が熊本で畳の商売を始め、戦後まもなくから祖父が北九州に出てきて事業を始めた会社です。
僕が会社を父から継ぐ前に、リフォームにもすでに手を広げ始めていたんですが、正直言って「リフォーム専業」といえる体制ではなかったんですね。
父から「好きにやればいい」という後押しもあって、僕が社長になってからはリフォーム部門を本格的に拡大しました。具体的には、ホームページやインターネットでの集客強化や、職人を増やすなどリフォームに特化した体制づくりを急ピッチで進めたんです。
当然、リフォーム市場自体は競合が多いし、やり方を間違えば職人不足やクレーム対応に追われることになりかねない。でも、畳だけに頼るより、家全体をケアできるリフォームのほうが将来性があると確信していました。
父の代からずっと大事にしてきた“自社職人を育てる”方針を守りながら、営業・経理・現場管理のスタッフを増やして、サービスの幅を広げていったんです。

Interview 02
さらなる一手を打った理由
経営の安定策としても有効
リフォームが軌道に乗り始めたころ、『このままリフォーム専業でいくか、それとも不動産も手がけるか』という岐路に立ちました。
きっかけはお客様からの相談です。『空き家を何とかしてほしい』『中古物件を買ってリノベしたい』といった声が思った以上に多く、『不動産も合わせてサポートできれば、家のことは全部うちで完結するじゃないか』と。二度手間三度手間が省けて、お客様にとっても便利になると考えました。
リフォームはどうしても景気に左右されやすい面があります。一方で不動産を扱うことで、仲介や売買による収益も見込めるので、経営のリスクヘッジにもなる。つまり“うちが今まで培ってきたリフォームの技術と不動産が合わされば、もっと強い会社になれる”と確信しました。
実際、“中古+リノベ”の市場は拡大していて、空き家を再活用するニーズも増えている。この流れはうちにとって好機でしたね。

Interview 03
“現場肌”の社長――職人との距離を大切にする
“自社職人主義”とクレームの少なさ
僕はよく“社長らしくない社長”と言われるんです。きっちりスーツを着てデスクに座っているより、作業着で現場を回るほうが多い(笑)。職人さんやお客様と直接顔を合わせて“どうすれば一番ベストな仕上がりになるか”をその場で話し合うのが好きなんですよ。
リフォームは解体してみないと分からない部分が多い。現場で『どう収める?』『ここはこうする?』と職人と一緒に考えるのが、結果的には一番早いんです。
大量の下請けを抱えて工事を回すやり方もあるけど、うちは極力“自前の職人”でまかなう方針をとっています。職人が社内にいるから“すぐ動ける”“クレーム対応が速い”“お客さんと意識が共有しやすい”などのメリットが大きい。
クレームが少ないのは、職人同士が顔見知りで息が合っていることも要因だと思います。僕としては“職人ファースト”をいつまでも続けたいですね。
Interview 04
家族経営だからこそ、言いたいことが言い合える
世代交代に不安は全く無かった
父(修二)と弟(孝典)と僕――家族三人が経営の中心にいるので、世間一般で言う“トップダウン”とは少し違う雰囲気ですね。
弟のほうは“職人出身の専務”で、現場と経営を二刀流でやってる。父は会長として“昔からの畳職人の経験”を活かしたアドバイスをくれる。三人それぞれ役割が違うし、性格も違うので、ときには口論もします。でもそれは“家族だから遠慮なく話し合える”証拠でもあると思います。
周囲に『会社を継ぐとき不安はなかったの?』とよく聞かれますが、正直言ってあまりなかったですね。
父が昔から“経理を早めに整備する”“家族間で情報を共有する”などの布石を打ってくれてたのと、僕自身がネット活用やホームページ作成に手を伸ばして、会社の売上を上げる手応えを感じていたんです。だからむしろ“ワクワク感”のほうが大きかったですね。
Interview 05
社員と職人の「家庭」まで大事にしたい
北九州一を目指しながらも、職人と経営の距離は近くに
社長として心掛けてるのは、“社員や職人一人ひとりの事情に耳を傾ける”ことです。たとえば子どもが熱を出したり、家庭でトラブルがあったりする場合、『遠慮なく言ってくれたらいい』と言ってます。現場仕事は体を動かすだけに、無理をすると大きな事故や怪我につながりかねない。
うちは家族経営でアットホームな雰囲気だからこそ、職人や社員も“正直に相談しやすい”環境を作りたいんですよ。働く本人はもちろん、その家族まで少しでも安心できる会社にするのが、僕にとって理想の企業文化です。
会社を大きくしようとすれば、どんどん下請けを増やしたり、支店を出したりというやり方もあるでしょう。でも、急激な拡大は現場や経営の連携が崩れやすい。
僕は“家族経営の良さ”――すなわち、職人と経営の距離が近く、お客様とも直接やりとりできる柔軟さを、あまり失いたくない。だから、成長はしつつも、“大きくなりすぎない”バランスを探っています。
Interview 06
不動産でさらに幅が広がった“住まいの総合サービス”
「ネットで物件情報を見つけて、そのままうちに来る」仕組み
「不動産部門を立ち上げたことで、家や土地の売買からリフォーム・リノベまで、一気通貫でお客様のサポートができるようになりました。具体的には、
空き家になっている実家を売りたい → ‘じゃあリフォームして賃貸にするという選択肢は?’
中古住宅を買いたい → ‘そこでリノベすれば、予算内で理想の家が作れますよ’
といった具合に、単なる売買仲介では終わらず、“実際の工事”まで一緒に提案できる。これは他社にはない強みだと思っています。
ホームページやSNSを活用して、不動産物件の情報発信も積極的に行っているので、『ネットで見つけて問い合わせたら、リフォームの話までトントン拍子に進んだ』なんてことも増えてきました。
今後はさらに“中古 + リノベ”の市場が伸びると予想しているので、もっと情報発信を強化していくつもりです。
Interview 07
家のことならなんでも米倉商店
北九州で一番頼れるリフォーム会社へ
僕の理想は、“お客様が家に関する悩みを抱いたら、まずうちに相談しよう”と思ってもらえる会社になること。それはリフォームに限らず、不動産の売買や相続、あるいは庭・外構工事なども含めて。
家って人生の中で大きな要素じゃないですか。そこを“職人”のDNAをベースに培ってきた細やかな施工力と、不動産知識で支えていきたい。そのために、社員・職人が働きやすい環境を整えつつ、サービスの質を高めていくのが僕の役割です。
父が築いてきた基盤、弟が現場で得た知見、社員・職人の力を合わせて、地元・北九州で“一番頼れるリフォーム会社”になりたいと思っています。数字的な売上目標ももちろんありますが、それ以上に“お客様満足”と“社員・職人の幸せ”を追求することで自然と売上もついてくる、そう信じています。

職人のDNAを受け継ぎ、
北九州で一番頼られる会社を目指す